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2010年 11月 12日

正義とは

尖閣沖の漁船衝突事故ビデオ流失に関して、海上保安庁職員が自ら「自分が行った」と申し出ました。

世論の意見は「良くやった」「現場は命をかけているのだから当然」と言った肯定的な意見が多いようです。逆に「組織に属していながら機密事項を漏洩させる行為はどうなのか」と言った批判的な意見もあります。

海上保安庁職員のメモが発覚し「そもそもビデオ自体が機密事項なのか」と言った疑問が書かれ、職員だれもが見れる環境にあったことを告白しています。

ハーバード大学「マイケル・サンデル氏」の白熱教室「正義とは」を見た方は多いのではないでしょうか?

サンデル氏も正義とは?という問いに、答えは無いと言っています。

例えば、「責任と謝罪」について、自分の世代に侵したことではなく、生まれる以前に起こした不祥事についての責任と謝罪の例を挙げ、日本の戦争責任を現在の私達が謝罪する必要性があるのかどうかといった議論を展開します。

ある人は「被害者側が忘れるまでは謝罪する責任がある」と言い、またある人は「責任が無限に続くのだろうか、未来志向で考えることが重要」と言う。ここでは責任の時間軸が論点になってきます。

別の観点から「コミュニティの責任は同じコミュニティが請け負う義務がある」と言い「子は生まれてくる場所を選べない。結果的に生れてきた処に既に責任を負って生まれるのか」と反論する。

講義の中で生徒が述べた意見に関して、サンデル氏は「君は功利主義者だね、では功利主義に反対の意見は」「君はリバタリアンだね。では君は能力的な弱者を救済しなくて良いということだね?」と話を展開する。

講義はサンデル氏の手腕により非常に面白い展開をします。

今回のビデオ投稿について、サンデル氏の白熱講義風に議論するならば、「彼は国民は真実を知る権利があると主張している。しかし彼は国家公務員としての職務規定を犯した(とする)。どうだろう、彼の行った行為を正義と言えるだろうか?」となるのでしょうか。

議論の成熟は、単純な価値観のぶつかり合いでは成されません。「幅広い知識と教養によって成熟された個々の思想が論理的にぶつかり合う」からこそ議論が白熱していくのです。

マスコミが街角インタビューを行いテレビで放映している「良くやった、偉い!」「彼を罰したら可哀そう」という感情的な意見が世論を形成していくことは決して良いことではありません。

狭義の価値観での判断から、成熟した価値観の形成に至る努力を、我々は日々行わなくてはいけないのです。

サンデル氏も「過去の思想家や哲学者も真実に辿りついていない、大切な事は我々が真実を探求し続けることだ」と述べています。

政治家の成熟された?議論にも注視していきましょう。

by melo-works | 2010-11-12 10:37 | Comments(0)


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