AIJ投資顧問問題が世間を騒がせています。
まず、基本的な事に触れたいと思います。
言うまでも無く、AIJ投資顧問とは世界のAIG保険グループとは全く違う会社です。年金運用に特化した投資顧問会社です。
企業は厚生年金に加入していますが、企業や団体が集まって老後の保障を厚くするために、厚生年金の上乗せ制度を独自に作ります。それが企業年金と言われ、企業年金には厚生年金基金や適格退職年金といった種類の上乗せ制度があります。
AIJのような投資顧問会社はその企業の上乗せ部分だけを運用していれば騒ぎはここまで大きくならなかったのですが、国の方針で企業年金については本来国が運用する厚生年金の大部分についても企業年金と合わせて運用するようになったのです。
つまり、AIJの喪失した年金とは独自の上乗せ部分に加えて厚生年金までもが無くなってしまったことであり、AIJに限らず同様のケースが他にも多数存在しているのです。
支払原資を失った企業年金が多数存在することに、国は有効な解決策を示せずにいます。当然でしょう。国も国民から預かった年金資金を無駄な事業に投資し、そして官僚の無駄使いによってその多くを喪失してきたのですから。
最早、日本の年金制度は破綻していると言っても過言ではありません。有効な手立てなどないのです。今、政府が打ち出せるのは繰り返される掛け金の値上げだけです。
今週、AIJ社長が国会へ参考人招致されました。
その答弁の開き直りの態度には唖然とさせられ、巨額詐欺事件と同類にも係わらず、自分は騙そうとしたのでは無いという主張を繰り返し述べていました。
国の消えた年金問題、年金財源に巣食う巨額の無駄、そして今回のAIJ問題…その被害者の膨大な数からも、年金制度など無い方が良いのではないかとさえ思います。
倫理観の無い金に翻弄され続ける人々に巨額の資金を任せることが無理なのです。