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2012年 10月 12日

ips細胞

メディアは山中教授のノーベル賞受賞と共に、ips細胞の万能性や、不治の病・難病に苦しむ方を取り上げて画期的な治療の早期実現を、とヒューマニズム的報道を繰り返しています。

生物化学医療的見地からips細胞の万能性は疑う余地の無い画期的な発見ですが、倫理的視点から長期的にその発展を考えると、逆に自分の感覚の中で消化できない部分がもやもやしています。

人間の倫理観など脆いものです。また、人間の探究心・好奇心は時に倫理観をも凌駕し、暴走し兼ねない強烈なものです。

更に研究途中での失敗がSF映画を彷彿とさせる事件を招かないとも限りません。

例えばips細胞を使って動物の体内でヒトの臓器を作る研究は、既に東京大の中内啓光教授らが計画及び基礎研究を行っています。

その実験は、遺伝子操作で生まれつき臓器を作れなくした動物の受精卵に(既にこの時点で恐ろしい)人のips細胞を移植する方法だそうですが、それによって生まれた動物性集合胚と呼ばれる物を、子宮に入れて育てることは、複数種類の動物の細胞を持つ生物(キメラと呼ばれ、ホラー映画の世界)が生まれる可能性があり、禁止されています。

この一文だけでも末恐ろしさを感じます。

我々は既に遺伝子操作により、自然とはかけ離れた食物を摂取しています。その未来に対する結末は誰も正しく予想できるものではありません。

クローン人間とはいかないまでも、ips細胞で作られた臓器を体に移植され、人の手によって作られた人が多数存在する世の中、そしてその子供が生まれ子孫を繁栄していく世の中。

さらに生態系の問題だけではなく、不老不死が追及され、飛躍的に寿命が延び、年寄りだらけの世の中。

人は色々な犠牲と引き換えに新しいものを手に入れていることも多く、その見地から考えると原発問題にも通じるものがあります。原子力という科学者の探究心をくすぐる研究により画期的なエネルギーを手に入れた我々人類が起こした悲惨な事故。

人の欲求と倫理観、正に紙一重の裏腹なものです。

by melo-works | 2012-10-12 10:17 | Comments(0)


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