H21.4~6月期の各企業の四半期決算及び各国のGDPが回復の兆しを強めています。景気の底を完全に脱したという経済論調が主となっています。
企業の業績回復の基本路線は、まず大幅な生産減による在庫調整からスタートしました。
つまりは雇用の削減や工場の閉鎖といった大幅なリストラが行われたわけです。また、不採算事業の閉鎖や固定費の削減により、企業の体力強化に努めます。
その結果、在庫調整も進み、月々の固定費も大幅に削減され、そこに政府の様々な経済政策が追い風となり、回復基調に入ったのです。
アメリカでも自動車購入補助金(最高4500ドル約45万円程度)が爆発的にヒットし、財源の大幅積み増しに動いていますし、日本でもエコカー減税、エコポイントによる消費の回復が顕著です。
確かに、景気が冷え込んでいる状態での政府支援は必要ですが、要は「需要の先取り」現象が起こっているのであり、さて、政策が終了した後はどうなるのか、というとかなりネガティブな予想となります。
更に、国が借金をして、将来世代の負担により、今の補助金が支払われています。
ですから、景気状況が若干上向いたといても、短期的に見ても、長期的に見ても、かなり厳しい状況に変わりありません。
また、今後益々深刻化するのが、「雇用」です。上記に書いた通り、企業は雇用を減らして業績をアップさせているのですから、景気が回復基調にある、といっても雇用は更に悪化します。
企業の社会的責任として「雇用の確保」があります。雇用確保から目を背け、自社の利益確保に走ったとしても、それは自らの首を絞めることになります。
「経済が本格的に回復」とは失業率の低下や賃金上昇といった指標が出て始めて回復なのです。