現在、伊勢志摩サミットが開催されています。
安倍総理は現在の経済状況を「リーマンショック前と酷似している」とし、エネルギーや食料、素材などの商品価格の低下、新興国の経済指標等を例に挙げ、リーマン前との類似点を強調しています。
リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットで危機の発生を防ぐことができなかったてつは踏みたくないとし、各国首脳に財政出動を含む強力な経済対策を呼びかけています。
しかし、良くある話ですが、一部類似したエビデンスのみを挙げ、全てが同じとするのは無理があります。
確かにリーマン前と似た指標もありますが、そもそも当時はサブプライム商品というとんでもない金融商品による世界的バブルが発生し、そのバブルに徐々に気が付き始めていた、という点で大きく異なります。
現在は雇用も安定し、企業業績も堅調です。世界経済減速の一因となった原油価格も底を打っています。
更に、オバマ大統領の広島訪問も本日行われます。当然、世界的に意義ある訪問であることは間違いありませんが、サミットを成功させたい安倍総理の意向が大きく働いたことは間違いありません。
安倍総理は、サミットでリーマン危機前と同じような経済状況であると宣言することで、消費税増税延期の理由付けにしたいのだと思いますし、オバマ大統領の広島訪問によって内閣支持率アップを狙い、後の参院選、もしくは衆参ダブル選挙へと繋げたい思惑が透けて見えます。
サミットというイベントを利用し、最大限の成果を挙げ、後の政権運営につなげる、経営者の視点から見れば何と素晴らしい経営者か、と尊敬しますが、総理大臣として安倍総理のパフォーマンスは行き過ぎですし、世界各国の視点は冷ややかな感じが否めません。
おそらく、海外の論調は安倍総理の過度なパフォーマンスを酷評することでしょう。
安倍総理に求められることは、ただの円安政策をアベノミクスと大風呂敷を広げたり、サミットでの過度なパフォーマンスではなく、地に足を付けた地道で芯の通った政権運営です。
劇場型と言われた小泉元総理は、郵政民営化、道路公団改革、公務員制度改革に代表されるような地道な改革を行っていました。
参院選を控えた安倍総理の今後を注視しましょう。