サッポロホールディングスに買収提案、ブルドックにTOB(株式の公開買付)をするなど日本企業への攻勢で注目される米系投資ファンド、スティール・パートナーズの共同創設者、ウォレン・リヒテンシュタイン氏が先日東京都内で記者会見しました。
リヒテンシュタイン氏は今まで顔写真さえ公開しなかった謎の人物とされており、同氏の会見は世界初だったということです。
会見では色々と投資について自身の見解を述べていましたが、驚きなのが「日本の経営者を教育するため、公衆の面前に出る必要があった」と述べていたことです。
リヒテンシュタイン氏は41歳で私と同じ年です。投資経験は豊富にあるのでしょうが、それにしても、アメリカ的な発言ですね、日本の大企業の経営者を教育するというのは。
アメリカでは、会社は株主のものであり、株主に利益をもたらすために企業活動を行う、俗に言う物言う株主が当たり前です。
日本では、長年株式の持ち合い等で、会社の経営に株主が意見することは無く、株主総会もただの会社側の現状報告会で終わっていました。
近年、物言う株主で現在裁判中の村上氏等の登場で、若干変化が見られますが、それでも日本の老舗企業の経営者に、リヒテンシュタイン氏の思考に賛同する方はいないでしょう。
企業活動とは、投資をして収益を得ることで、その投資資金を出す人が、企業のオーナーであり株主です。
株主はその企業に投資し、企業はそのお金を事業に投資し、その事業で得た収益を株主に還元する、それが株式会社のシステムです。
当社は中小で、当然上場していませんから、私が資本金の全てを出し、自ら経営者として事業を行っています。
そんな小さな会社でも、会社は株主のもの、とはとても言い切れません。
以前テレビで会社は誰の物?というテーマを取り上げていました。株主、経営者、従業員、お客様、それぞれの立場で議論されていました。
確かに、資金を出す株主の物という理論も分かりますが、そこで働いている人が、株主の為に働くと定義したら、なんとやる気のでない話ではありませんか。
リヒテンシュタイン氏等の投資ファンドが要求する、企業価値を上げろ!ということも経済の活性化という観点から見れば正しいのですが、企業活動とは、利益を追求することだけが、企業活動ではなく、社会貢献も含めて、もっと色々な重要なことがあると私は考えています。
というか、そういった考えでなくては、「仕事などつまらない作業」になってしまうのではないでしょうか。